「すべての起点はスクールでした」|MICRO FARMERS SCHOOL 卒業式

 

こんにちは、マイクロファーマーズスクール事務局メンバーの久保です。

マイクロファーマーズスクールは神戸市北区上淡河地区をステージとして、農業を学びたい人、その中でも農業と農業以外の仕事の両立を目指す人向けのスクール。これまでのスクールの様子は、こちらの投稿をご覧ください。https://www.instagram.com/microfarmers_kobe/

2020年9月よりスタートしてから一年。秋・冬野菜から春・夏野菜にわたって野菜栽培、加工の実習や、販売体験を実践していきました。

 

MICRO FARMERS SCHOOL 卒業式

そして先日、第一期スクール生が無事卒業を迎えました。スクール最終回では、卒業生の最終プレゼンと春から参加したスクール生の中間プレゼン発表会、修了証書授与式を行いました。
プレゼン発表では、半年から一年間スクールに通ってみてどような学び・心境の変化があったのか?今後どのような農と関わり、どんなマイクロファーマーを目指すのか?などについてそれぞれの想いやプランを発表し、フィードバックやエールを贈り合いました。

ちょうど一年前の申し込みの時、当時の皆さんは、農に対する憧れや希望と同時に、コロナ禍でこれからの仕事や暮らしに疑問や不安な表情をしていたのが印象的でした。多くのひとにとっての憧れや興味からはじまった農業も、実際やってみると予定通りうまくいくことばかりではなかったと思います。
思わぬ天気に翻弄されたり、通い農業の現実、農を生業にする難しさなどに直面することも多々ありました。


ですが卒業を迎えた今、みなさんの表情は一年前とは見違えるほどたくましく生き生きとしていました。それだけでなく、畑や自分で育てた野菜、そして淡河地域への愛着がジワジワ湧いていく様子をみて、とても嬉しくなりました。
スクールを通じて経験した失敗や成功、ここでできた仲間、先を考えたときの不安や自信のリアルさも含めて、それらはみなさんの根を育む栄養になったのではないでしょうか。

そんな生徒さんの言葉で、とても印象に残ったものがありました。

 

「すべての起点はマイクロファーマーズスクールでした」

もともと台湾のホテルで料理人として働いていた藤井さん。
彼は、昨年2020年に台湾から縁もゆかりもなかった神戸に移住しスクールに入学しました。いずれは台湾に帰る予定でしたが、なんと今は塩屋にて奥さんと台湾カフェ「Ryu cafe」を営まれています。

そんな彼は、その起点がマイクロファーマーズスクール だったと話してくれました。
「昨年日本に帰国して10ヶ月弱、誰も知り合いがいなかった神戸でこうして無事に店が開けたことが、少し不思議な気分です。そしてその起点がマイクロファーマーズスクールでした。スクールの仲間に塩屋を紹介していただき、スクールで学んだ農業の知識で地域の人たちと交流し、Ryu Cafeとしてファーマーズマーケットに出店させていただいて店の基礎を築くことができました。」

マイクロファーマーズスクールを起点に、点が繋がり、輪が広がっていく、
ここは、”スクールでありコミュニティ”なんだな、と確信しました。

(左から、奥さま、藤井さん、メイン講師・森本)

 

彼らのこれから

それぞれのマイクロファーマースタイルを軸に、様々な方向へ歩みを進めています。
本格的に新規就農を目指すひと、自給的な農業を実践するひと、飲食と農を行うひと、元々の仕事との掛け合わせを模索するひとなどです。

また、2021年秋より神戸市において新たな就農制度が創設されました。その内容は、本スクールのような農業スクールを一年間履修終了すると、一定の面積の農地を賃貸できる制度が設けられるというものです。
その農地で複数年農業を実践し実績を農業委員会に認められれば、就農資格が得られるというものです。従来的には農家資格を得るためには、今までの仕事を辞めることを余儀なくされる状況でしたが、仕事を続けつつ通いながら新規就農することができるよう道が開ける状況になってきました。(詳しくは、こちらをご覧ください:https://www.city.kobe.lg.jp/a99375/press/20210826143002.html?fbclid=IwAR3jya8M4P5lRwlsoK5P1yx6HmeJW-ZZ722bgooQQrgBZgW_k9jvj-16ZkI)

現在、卒業生には上記の農家制度を視野に入れた貸農地とプログラムを準備中です。

 

 

「そもそも、マイクロファーマーって?」

どんな仕事と農を組み合わせるのか?生活のどの割合で農と関わるのか?
事務局としても一年間、この問いに向き合ってきましたが、そのスタイルは千差万別で、まだ事例はありません。

また実現への道も、決して容易ではないと思います。
ですが、神戸市の農業制度も少しづつ変化してきていますし、何より私たちには「難しいからこそ、面白い!」「事例がないから事例をつくる」と思える心強いコミュニティがあります。

一期生のみなさんは、各々が自らの意思をもって同じ畑に通い、仲間と共に試行錯誤しながら農作業するなかでコミュニティを育み、次のステージに進もうとしています。
私たち事務局は、そんな彼らの未来にワクワクすると同時に、技術向上のサポートだけでなく、街の人々と農村を継続的に繋ぐことの重要性と責任をより強く感じています。

ひとりひとりが、ここを起点として繋がり広がり、それぞれのマイクロファーマーを目指して切磋しあう、そんなコミュニティを育てていけるよう、事務局はまた新たな気持ちで秋をスタートしたいと思います。

 

最後になりましたが、第一期生となったスクール生のみなさま、本当に一年間おつかれさまでした。そして、受け入れてくださった地域の方々、本スクールに関わり応援してくださった方々に、心から感謝します。
おかげさまで、初年度を無事修了することができました。引き続きご理解ご指導をお願いいたします。

さて、さっそく2021年8月末からは、第二期が開講いたします!また、そちらの様子も伝えていけたらなと思います。つぎのスクール生募集は春スタート生です!

1年間のスクールの様子

(開墾、草刈り、計測からはじまりました)
(メイン講師による、座学や作付計画相談の様子)
(畑作業の様子。淡河の農家さんが手伝いに来てくれることも。)
(見違えるほど、野菜がたくさんの畑に…!)
(特別講師・弓削忠男先生や保田茂先生によるレクチャー)
(農家・三宅ゆきえさんによる加工品・保存食づくりの実習)
(冬と春には、ファーマーズマーケット出店体験も行いました。)