KOBE URBAN FARM TOUR 開催レポート

秋晴れで涼しい風が吹く先日、神戸の街中の畑「アーバンファーム」をめぐるツアーを開催しました!

アーバン(街)ファーム(畑)とは、街の中で野菜や植物を育てること。近年様々な背景の元、世界的にその輪は広がっており、神戸でもユニークな取り組みがたくさんあります。なぜ彼らが街で農業をするのか、どんな方法で野菜を育てているのか、どんな化学反応が起きているのかを、実際にこれから行いたいと考えている7人の方と一緒に回りました。

 

1件目は、<いちばたけ(灘区・水道筋商店街)>

・昔からの市場(水道筋商店街)の真ん中で地域の高齢者や子供達を巻き込みながら野菜を育てられています。

・7割のお店のシャッターが閉じている中で、少しでも商店街の存在を知ってもらい空き地を活用し、身近にある食を知ってもらうために活動をされていました。

・定期的なイベントも行い、いつでも自由に入れるパブリックな公園のようでした。

 

2軒目は、<多文化共生ガーデン(長田区)>

・震災で空き地になったところがたくさんあるエリアで畑をしています。

・ベトナム人を主体に定住外国人が多く住む地区のため、地域の人との交流が畑を行う目的の一つです。

・とても丁寧に手入れをされており、よく畑を通る方に野菜を差し上げるなど、野菜だけでなく、人との関係性も育まれていました。

 

3軒目は、<清山荘(中央区)>

 

・昔からあるアパートの屋上を利用した畑です。

・建築家が発起人となることで、建物が耐えられる重量などを綿密に計算してつくられています。

・畑はプランターごとに区画分けされている他、ぶどうを作りワインを醸造することを目論んだプロジェクトも進行中です。

 

4軒目は、<KITANO FARM(中央区)>

 

・住宅街の空き地を利用した畑です。

・農家が先生となり、地域の飲食店の料理人が畑をしています。

・野菜の栽培はもちろん、「こんな野菜が欲しい!」など料理人と生産者の対話の場になっているのです。

・地域の飲食店同士のコミュニケーションの場にもなっているそうです。

 

野菜以上の収穫物は何?あえて街で農業をする価値とは

街の中で農業をすることは、新鮮な野菜を収穫する以上に、野菜を通したコミュニケーションを通じて、街中で少ないとされる自然との関わりや心地よい人間関係を育む場所になっているように感じました。他にも、街の景観を綺麗にしたり、子供達の遊び場や食育の現場、いざとなったときの食べ物の供給場、日常的に地域の人々が関わることで、生まれる地域のセーフティーネットになり、色んな意味で安心して暮らせるまちづくりにつながる可能性があることも見えてきました。

街としても住宅密集地における防災空地の活用方法の一つや、景観の保全(空き地は、雑草が生え不法投棄がされやすい)や、治安の安定(空き家は、空き巣や倒壊する可能性があるため)にもつながるため、街の中で農業をすることは、住民の住み心地の良さにもつながってきます。

今回のツアーに参加された方々がLINEアドレスを交換されていたのも印象的でした。みんな野菜を通じた場づくりを行いたいもの同士。家のベランダでこじんまりするのも、地域の人々と共に行うことも、商業的に栽培することも、街で農業をしたらアーバンファーミングです。コロナショック後、より注目をされてくる分野のため、今後もぜひチェックして、機会があれば実践してみてください。意外と簡単に始められますよ。

2020.10.12